馬渕さんはこのニュースをどのようにご覧になっていますか?
馬渕)■ゴールド価格の上昇から言えることは、「安心してお金を置いておきたい場所に、お金が流れ込んでいる」と理解すると分かりやすいです。マーケットには「有事の金買い」「有事の円買い」「有事のドル買い」があって。その時々の状況や解釈によって色んな動きをします。基本的な定義や仕組みを押さえることで、全体的な流れを把握できます。例えば、今回為替に関して当初リスク回避による「円買い」が起きましたが、その後、「ドル買い」が交錯するタイミングがありました値動きとしは、いま、底堅い動きが続いています。
なぜそのような動きになるのですか?
馬渕)■有事のドル買いとは、戦争や地政学リスクが高まると、世界の基軸通貨であるドルがリスク回避先として買われる現象です。中東情勢の緊迫化を受けて当初はマーケットの機械的な円買いが進みドル円は142円台まで下落しましたが、その後「ドル買い」が入り、ドル円は144円台まで反発しました。流動性や信頼性の高さから、世界的な不安が高まるとドルに資金が集まりやすくなります。一方、有事の円買いは、主にアジアや日本周辺でリスクが高まった場合などに、円が安全資産とみなされて買われる現象です。
為替と金の価格の関係はどうなっていますか?
馬渕)■これまで歴史的には「ドルを買う時は金を売る」「金を買う時はドルを売る」という関係でしたが、近年はその逆相関の関係が崩れています今回のように「金」と「ドル」が同時に買われるケースも見られるようになりました。市場のリスク回避姿勢が強まっていることも言えます。特に、ゴールドの人気は底堅く地政学リスクやドルへの信頼が低下するタイミングもあり、今後も人気は継続する可能性が高いです。一方で、ドルの強さに関しては、アメリカが今後、「利下げ」をする見通しですし、トランプ減税が現実のものとなれば財政懸念から「ドル安」のターンもあると考えられます。今は「有事のドル買い」が主流となっていますが、地政学リスクの状況や日銀の利上げ再開によっては円買いも強まる可能性があるため、今後の動向には引き続き注意が必要です。