【出演】6月10日 フジテレビ LiveNewsα「米中貿易協議」 解説(日本金融経済研究所 代表理事/馬渕磨理子)

貿易をめぐる米中協議馬渕さんはどうご覧になりますか?

馬渕)トランプ政権のアキレス腱は、金融で言い換えれば「米国債」・軍事と貿易で言い換えれば「レアアース」です。世界のレアアース生産のおよそ90%を中国が占めています。レアアースがないと、自動車や電子機器はもちろん戦闘機やミサイルもつくれないため安全保障に関わります。トランプ政権としては中国の輸出規制を早く緩和して欲しい。ここに焦りがあります。

レアアースを「戦略カード」として使っている訳ですね

馬渕)中国は過去にも、外交や経済交渉の場面でレアアースの輸出規制や緩和を「交渉材料」「圧力手段」として活用してきました。これからも、中国がレアアース規制を「完全に解除することはない」と思われます。問題は米国だけでなく日本も標的になっていることです。

 

日本への影響、具体的には?

馬渕)実際にスズキは、レアアースの不足により一部で自動車が生産できなくなっています、中国に弱みを握られているサプライチェーンの問題を意識せざるを得ません。2020年に日本政府は、レアアースを含むレアメタルの備蓄日数を「一律60日分」から……。「種類ごとに最大180日分程度」へ拡大する方針を決定しています。こうした「備蓄強化」に加えて「中国依存からの脱却」などレアアースの安定供給に向けた対策を急ぐべきです。

 

中国依存からの脱却。どんなアプローチが考えられるのでしょうか

馬渕)実はレアアース自体は、アメリカや日本でもとれますただ、採掘や精錬の段階で公害物質がでます。公害物質がでるものを中国に任せて、自動車や戦闘機をつくるままでいいのか。という考え方もありますよね。そこで、日本企業に期待されているのは公害を出さない形で、レアアースを製造する技術の開発です。もう一つは、「都市鉱山」と呼ばれる使い終わった自動車や電子機器などから希少な資源を取り出すリサイクルの向上にさらにチカラを入れる必要があります。

 

https://www.fnn.jp/articles/-/885233