メガバンクの好決算。馬渕さんはどうご覧になりますか?
馬渕)2025年3月期の連結決算で3メガバンクの最終利益 をあわせると、およそ3兆9000億円となります。こうした業績の好調を支えているのが「金利のある世界」の復活です。資金利益と呼ばれる銀行本来の業務である融資などから得られる利息や手数料が増えています。ここが確実に、成長に寄与しています。こうした金利環境の変化を活かしつつ、一方では、金利に頼らない収益の拡大にもチカラを入れています。
金利に頼らない収益とは、どういうものなんでしょうか?
馬渕)これは非金利収益と呼ばれるもので主に融資以外の業務から得られる収益を言います。具体的には、コンサルティング業務、不動産売買、さらには資産運用などが該当します。かつて銀行員といえば口座の開設や定期預金の獲得に奔走していましたが……。今は資産形成やライフプラン設計の頼れるパートナーとしての役割が増してきています。
好調な業績の一方で、今後の銀行経営に影響する不安材料などについてはいかがですか?
馬渕)「金利のある世界」が、収益を生む、大きな追い風ならばその逆の、向かい風といえるのが「トランプ大統領のいる世界」です。トランプ関税の影響が懸念されており、銀行が引き受ける企業の業績や資金需要に不透明さが出てきています。さらに、日銀は景気の動向などを見極めて追加での利上げを判断する訳ですが……銀行の利益の積み増しにプラスに働く利上げが後ろにずれるほど銀行経営にとっては、マイナスになります。
メガバンクは広く海外展開も行っていますがここにも影響がありそうですね
馬渕)「トランプ大統領のいる世界」で悩ましいのはグローバル経済の動向と地政学リスクにも強い影響を及ぼすことです。海外事業の比重が高いメガバンクにとってここは強みですが世界経済の成長率や各国の金融政策、さらには国際紛争や貿易摩擦などは……。貸出需要や与信コストに影響を与える可能性があります。