【出演】フジテレビ LiveNewsα 「日本郵便 トナミHD買収」解説(日本金融経済研究所 代表理事/馬渕磨理子)

企業買収による物流業界の再編。どうご覧になりますか?

馬渕)■今回の買収は、日本(にっぽん)郵便・グループにとって課題解決のための重要な一手となりそうです。郵便物の取扱量が減少している、従来の事業だけでは成長が見込めない。さらには、物流業界全体の人手不足、トラックドライバーの労働規制強化といった

構造的な課題もあります。今回の買収で企業間の物流、BtoBサービスを拡充して新たな収益源を確保する狙いがあります。

 

具体的には、どんなシナジーが見込まれるのでしょうか

馬渕)■日本郵便グループは、全国を網羅する大規模な郵便・物流ネットワークを持っていますが……これは主に個人向けの郵便物やゆうパックを効率的に運ぶために最適化されています。法人向けBtoBである幹線輸送網(かんせんゆそうもう)については、トナミHDのネットワークが勝っています。つまり、これまで日本郵便で扱いが少なかった種類の輸送ニーズに対応する能力が高まることが期待できる訳です。

 

さらなる成長を図るためのポイントは?

馬渕)■特にトラックによる中・長距離のBtoBの貨物輸送のノウハウとネットワークの強化・補完が鍵になるかと思います。日本郵便の既存の物流ネットワークと組み合わせることで……。全国規模での物流網の強化やサービスの高付加価値化が期待できるかと思います。

 

物流の危機を乗り越えるための買収や合併、今後も続いていくのでしょうか?

馬渕)■ドライバー不足や労働時間規制が厳しくなった「2024年問題」に対応するためには……トラックの輸送能力を確保し、より柔軟で効率的な輸送体制を構築する必要があります。今回の動きは、単なる企業買収というよりも、大手物流プレイヤーが……。業界全体の課題解決と、競争力強化に向けて、具体的なアクションを起こした象徴的な事例です。今後も、物流業界におけるM&Aのニュースは増えそうです。