2025年1月9日
相次ぐ 初任給引き上げ
ユニクロなどを展開するファーストリテイリングは、新入社員の初任給をこれまでの30万円から33万円に引き上げると発表。明治安田生命も2025年入社予定の新卒者のうち、全国転勤がある採用コースの初任給を27万円に引き上げる方針です。
初任給の引き上げ、どうご覧になりますか?
馬渕)初任給だけでなく、就職氷河期世代、ロスジェネ世代など働く人の所得向上。ようするに「賃上げ」は2025年も大きなテーマになります。日本経済が本格的にデフレから脱却するには所得の再分配を進める必要があります。日本のマクロ経済の数字は着実に改善しています。名目GDPはプラスに転じ、税収は過去最高に。今年は、貿易収支も黒字転換する可能性が高く、企業業績は10%成長見通し。このペースが続くとデフレ脱却を確実にできるかもしれません。その鍵となるのが、やはり再分配を広げる事です。具体的には「賃上げ」と103万円の壁を引き上げて、みんなの所得を増やす必要があります。
再分配を広げていくためのポイントは?
馬渕)企業部門のマインドは改善し、賃上げの運気が高まりました。この流れは引き続き続くでしょう。そこに、国の政策を付け加えることです。富が低所得層にも浸透して経済活動が活発化し、利益が再分配されることを「トリクルダウン」と呼びます。現在「トリクルダウンは起きなかった」という見解が各方面で言われていますが。それは違います。再分配は政治の役割であり、その権限を持っているのが政府・与党です。いま、トリクルダウンを起こそうとする再分配をしようとする政治が、国民の支持を得る 局面に入っていることに気付くべきです。
政治の果たす役割は、大きいようですね
馬渕)景気回復の答えは、過去の経験にもあります。政治家の皆さんは、胸に手を当てて思い出して欲しいです。第二次安倍政権以降、政府・与党はこれまでのやり方を変えた。それがアベノミクスです。副作用の問題もありつつも、アベノミクスのベースがあったことで、ここまで日本のマクロ環境は改善しました。ここから先、大事なのは、その果実を、自らの手で再分配することです。現政権が主体的に、この部分をやるべきです。国民生活を豊かにする還元策を主導して欲しいと思います。