「2025年度GDPギャップ 物価↑を上回る、賃金↑へ」
ここでは経済アナリストの馬渕磨理子(まぶち・まりこ)さんに、うかがいます。
景気を見通すGDPギャップがプラスになると示されました。馬渕さんは、どうご覧になりますか?
馬渕)需要と供給の差である「GDPギャップ」が少々プラスになったとしても……。賃金は上がらないし、物価高も続くかもしれない。
という不安から節約志向は根強いですよね。凍り付いた個人消費を温め、おカネが動き出すには、相当のエネルギーが必要です。
個人消費を動かすには、どんなアプローチがあるのでしょうか
馬渕)そもそも、おカネがない訳ではありません。企業の経常利益は100兆円を超え、アベノミクス以降は3倍に拡大しています。国に入る税収も過去最高を更新して2024年度は76~77兆円ほどになる見通しです。問題なのは、富が偏在しているため、個人が恩恵を感じづらい状況にあることです。富が広く行きわたる政策の1つが103万円の壁の引き上げです。これが進むと個人消費の後押しになります
景気の回復では、国が果たす役割は大きいようですね
馬渕)重要なのは、パイの取りあいではなく、パイを拡大させる経済成長です。ここでは、やはり国のアシストが欠かせません。資本主義は成熟して、人口も減少する日本で経済成長を描くことは、容易なことではありません。ですが、それを考えるのが「政策」であり、それを実行するのが「政治」です。企業がより稼げるようになれば、国に入る法人税は増えますし、働く人の給料にも還元されます。
具体的には、どんな政策の実行が求められるのでしょうか?
馬渕)日本の軸である自動車と半導体については政府の手厚いサポートが必要です。さらに、ビジネスで目詰まりの原因となる規制の緩和も進めていくべきです。
満員電車の中で 何にために我慢して 何のために生きているのか分からないと一度は思うこともあるでしょう。そうした現状への不満や、将来への不安を感じる人が一人でも少なくなること。2025年は、そんな政策の立案と実行を期待したいです。