【出演】フジテレビ LiveNewsα 年収103万円の壁 解説(日本金融経済研究所 代表理事/馬渕磨理子)

2024年 11月21日 代表理事、馬渕磨理子 フジテレビ LiveNewsα 出演

103万円の壁、どうご覧になりますか?

馬渕)与野党で交渉・議論ができたことは大きな一歩だと思います。ただ、具体的にいくらまで引き上げることが可能なのかは、まだわかりません。財源の問題がありますので、現段階では断定的な文言は、避けたと見られます。ここからの議論が、より重要です。

議論の際に、どんなことがポイントになるのでしょうか?

馬渕)生きる最低限のコストである「基礎控除」の引き上げは、所得の低い、高いを問わず多くの人に関係します。試算のデータをもとに議論を進めて欲しいです。「年収の壁」の引き上げ幅の設定によって税の減少は試算が出ています。ここにもう一つの視点を加える。国民の所得が増えることで、個人消費が増えて、減収となったとしても経済にプラスとなるのはどの程度の基準なのかが問われてくるはずです。一方で、税制上は103万円に関しては配偶者の「年収の壁」はないという考えもあります。

壁はないというのは、どういうことでしょうか?

馬渕)あくまで、税制上ですが、かつては配偶者がパートなどで働いて年収が103万円を超えると「配偶者控除」がなくなり、税金の負担が増えました。それが今は、103万円を超えたら、配偶者特別控除という制度があります。現在では、配偶者の控除が減り始める年収は150万円に引き上げられています。

今でも「103万円の壁」があると思っている方が多いように思いますが、これはどうしてなんでしょうか

馬渕)ここが何よりもの問題を示しています。実務の現場で勤め先の企業が、配偶者手当の支給基準を「年収103万円」としているケースも多いようです。こどもがアルバイトをして年収103万円を超えると扶養控除がなくなります。何より実際にパートなどで働く人の中で「103万円を超えてはいけない」という心理的な壁が存在しているのも事実です。税制は変わったが長年の慣習や 回りと同じ行動をするという従来の行動を継続することが大きく影響しているようです。こうした本来の税制とは乖離している実務の現場を 後押しすることも必要でしょう。今後は、細かな試算データに基づいた議論を行い税と社会保障の一体改革を進める必要があります。