2024年 11月6日 代表理事、馬渕磨理子 フジテレビ LiveNewsα 出演
トランプ大統領誕生となった場合はどのような動きが予想されますか?
馬渕)トランプ氏自身は、自国通貨安「ドル安」を進めるべきと発言していますがドル安は実現は難しいかもしれません。なぜならば、中国やそのほかの国との
貿易の関税を引き上げれば、アメリカ国内での輸入品の値段が上がります。また移民の流入を制限する政策は国内の労働力を低下させます。消費意欲旺盛なアメリカで、企業側のサービスやモノを提供する量が追いつかなければ、モノの値段が上がります。トランプ氏の掲げる大メッセージは「ドル安」と「物価を下げる」ことですが、いまお話ししたように個別具体の政策には、整合性がありません。
トランプ氏の政策がアメリカ経済にどのようなプラスをもたらしますか?
馬渕)トランプ氏の法人税・所得税、引き下げ案が実現すれば、株高になりやすいです。高い金利に引き寄せられて、アメリカに海外から多くの資金を呼び込む可能性があります。短期的にはアメリカ経済にとってプラスの側面があるかもしれませんが前回、トランプ氏が大統領だった2018年に米中対立が激化し株価が軟調、
上値が重かったことを忘れてはいけません。
金利の再浮上は、アメリカ経済のソフトランディングの時期を遅らせる大きなリスクがあります。
日本の企業や政府はどのような対応が必要でしょうか?
馬渕)アメリカ第一主義のトランプ氏が大統領となれば日本経済や日本株への影響は大きいです。
例えば、日本株の牽引役である、トヨタは共和党勝利、民主党勝利、あらゆる状況を想定し以前から北米に工場の拠点を置き、関税の影響をできる限り回避するように動いてきましたし、いまも進めています。ただ、メキシコに工場の拠点がある点は他の自動車企業含めて影響を慎重に見極める必要があります。日本国内に工場がある自動車部品の企業は関税の影響をダイレクトに受ける可能性があります。そのほか、日本の半導体企業の中には、中国向けが5割を占める企業もあり、日本企業、日本政府としても戦略の転換が求められる
可能性があります。
強い日本経済を実現するためにも日本政府はトランプ氏と上手くわたりあいアジアの秩序を守る立場を貫くことが求められます。