フジテレビ「LiveNewsα」において、当法人の代表理事、馬渕磨理子が「円安と日本経済」から考える「日本の戦略」に関してコメントいたしました。
出演:2022年9月29日
エネルギーや食品などの値上がりに対する負担の軽減策に期待したいです。さらに、この総合・経済対策をきっかけに、モノの値段が持続的に下落して働く人の給料も上がらないデフレから脱却する道筋ができればと思います。加速する円安に懸念が持たれていますが、実は、この円安によって輸出企業を中心に企業業績が伸びて、国の税収も増えるなどGDPのプラス成長が期待できるため円安のメリットを活かした経済の舵取りが期待されます。
まずは、「インバウンド」には力を入れるべきです。コロナ以前の2019年のインバウンド消費は4兆8000億円でしたが。いま、「円安」という追い風を受けて、コロナ以前を上回る成長が期待できるため海外に向けた日本のPRを進めるべきです。さらに円安は海外に出てしまった工場を日本に戻す最大のチャンスです。ただし、これから国内回帰を進める工場は低い給料で、多くの人を雇用するような労働集約型のものではなく、テクノロジーを活用して高い付加価値を生み出す拠点にすべきです。そのためには国による支援金や減税・措置を講じる必要があります。
賃上げに関しては、日本は「労働力=新たな富を生みだす財産」だと考える視点が欠けています。これから日本でも企業は「人的資本の情報開示」が義務づけられる方向です。早ければ2023年3月期の有価証券報告書に記載が求められます。
人材教育など人に投資する金額はGDPに対して米国は2,1%ですが、日本は0,1%に留まっています。労働力は消費し、コストのかかるものではなく「大切な財産」であり、「育てる」ものとして賃金を上昇させていく視点は、グローバルで考えれば必要です。